Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 141.130 caracteres · 288 pantallas

Aozora Bunko

「いや、大したことはなかった」

二人はしばらく黙りこくってしまいました。ほんの幾瞬転の間ですが、激しい捜り合いが腹と腹とで行われている様子です。

「川波勝弥さんを殺したのは、あれは誰でしょう」

平次は第二段の問いに入りました。

「それもこの林彦三郎だよ」

「理由は?」

「武士として許し難きことがあった」

「それだけで?」

「それで沢山だ」

「武士として許し難きことがあったのなら、なぜ名乗って果し合いをなさらなかったのです。酔っぱらった者を後ろから突いて殺すのも、武士として、許し難いことじゃございませんか」

「…………」

彦三郎は唇を噛みました。一言もない姿です。

「脇差はどうなさいました」

「お濠へ投げ込んだよ」

「鏡は」

「…………」

「死骸の側に落ちていた鏡は、あれはどうしたのでしょう」

「俺は知らぬ、――川波勝弥が持出したのだろう」

「それでお白洲が通るでしょうか」

「…………」

林彦三郎はもういちど唇を噛みます。

「八」

「ヘエ」

平次は八五郎をさし招くと、

「道場へ行って、皆んなにそう言うがいい。林彦三郎さんが自首して出ました、御安心なさいますようにって、――川波勝弥殺しも、熊吉殺しも、林さんに違いありません。