Clásicos japoneses con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lee 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 130.271 caracteres · 263 pantallas
この騒ぎを聞き付けて、安行も奥から出て来た。
「こりゃア一体どうしたのだ。」
人々はわやわや云いながらお杉の周囲に群れ集ると、婆は歯を食縛って正体もない。巡査は小膝を突いて抱え上げた。
「偽死でもないらしい。急所でも打ったかな。」
市郎も立寄って検めた。彼は医師である。左右の人々に吩附けて、兎も角もお杉を我家へ舁き入れさせた。
けれども、お葉の方はまだ埓が明かぬ。彼女は依然として生贄の冬子を掴んでいるのであった。市郎は気が気でない。忙しい中にも駈け寄って、
「この通りの始末だから、委しいことは後で話す。兎も角も今日の処は何うか堪忍して呉れ。」
拝むようにして只管頼むと、お葉は誇りがに首肯いた。
「可ござんす。じゃア、先刻の約束は忘れませんね。」
「忘れない、必然忘れない。」
お葉は初めて手を弛めた。荒鷲の爪から逃れ出た温め鳥のように、冬子は初めてほッと息を吐いたが、髪を振乱した彼女の顔には殆ど血色を見なかった。
それも関心ではあるが、猶一方には気を失っているお杉が有る。市郎は倉皇として内へ駈込んだ。塚田巡査も続いて入った。
お杉は南向の縁側に横えられた。