Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Lee 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 130.271 caracteres · 263 pantallas

Aozora Bunko

市郎は吻とした。

「違います。違います。成程、これは親父じゃアありません。」

「そうでしょう。」

「違った、違った。」と、人々は喜悦の声を揚げた。七兵衛は嬉しさに又泣き出した。人々は消えかかった松明が再び明るくなった様に感じた。

が、これが安行でないとすると、何処の何者であろう。たとい角川家の主人其人にあらずとも、一個の人間が惨殺されて此処に横わっているのは事実である。塚田巡査は職務上これを捨置く訳には行かぬ。取敢ず其屍体を町へ運ばせて、己は其報告書を作る準備に取かかった。

夜はいよいよ更けて、雨は益々烈しくなって来た。此のまま雨中に立ち尽しては、或は凍えて死ぬかも知れぬので、遺憾ながら安行の捜索は一旦中止して、一同も空しく町へ引揚げて来た。市郎は其夜一睡も為なかった。

「阿父さんは何うしたろう。」

彼の冴えたる眼には、彼の惨殺されたる老人の屍体がありありと映った。自分の父も矢はり彼のような浅ましい姿になって、人の知らぬ山奥か谷間に倒れているのではあるまいか。それにしても、あの老人は何者であろうか。父の行方不明と彼の惨殺事件との間に、何等かの関聯があるのではあるまいか。