Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lee 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 261.216 caracteres · 521 pantallas

Aozora Bunko

蜘蛛かがり

と思うと、かれの胸は躍ってくる。耳には紀淡の潮音がきこえてくるような心地もして。

「だが……」

とまた口惜しまれるのは万吉の落伍。

ふり仰ぐと空いちめんに星がある。

六根清浄、六根清浄、そうして、人生の嶮路を互に手をとり合ってきた道づれが、途中で凍えてしまったようなさびしさを感じた。

蜘蛛かがり

重喜が居城へ帰ってから無人になっている安治川屋敷は、大寺のように寂としていた。白髪のお留守居とお長屋の小者が、蜘蛛の巣ばかり取って歩いている。

で、誰にも遠慮のいらないここの侍部屋は、目下、天堂やお十夜や周馬にとって、またなきねぐらとなっている。

三人よれば文殊の智慧というけれど、この三人、寄るとさわると酒なので、智慧の出るひまもなさそうだ。

ゆうべも酒。けさも酒。

その酒びたりに倦み果てて、やがてけだるくなると、お十夜は手枕をかい、一角は飴のように柱へもたれ、周馬は徳利を枕にして仰むけに寝ころぶ。

「鳴りをひそめているということは、何となく面白いな」

と、周馬がいった。

近ごろ新しくできた一個のニキビを疣のように気にしながら。

すると。

何か目算が立って居中悠々としているもののごとく、天堂一角が朗吟口調で、