Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 261.216 caracteres · 521 pantallas
ひとり、弦之丞だけは、黙然とそこを去って、あなたの榛の木のかげへ歩んでいた。
すると、ちょうどその夕暮に、麓の禅定寺の寺男に様子を聞きただしていた女が、ふたりの幼い者の手をひいて、月明りをたよりに、この峠へ息をせいて登ってきた。
「さぞ疲れたろう、くたびれたろうね。お前たちの足では無理な道だったもの。けれど、寺の人の話から推して考えてみても、きっと、この上にいるに違いない。もう少しの道だろうから、辛抱おしよ、ね、我慢をして歩いておくれ」
こういっているのは四国屋のお久良。
「おばさん、おいらはちっとも足が痛くないよ、こんな道ぐらい何でもないや」
と、それに答えて元気なのは、手をひかれている乙吉だった。
「あたいだって……」
と姉のお三輪も負けない気でいう。
「暗くっても怖くはない。お綱姉さんに会えるんだもの。ねエ、おばさん」
「ほんとに、お綱姉さんはこの上にいるの?」
と、乙吉はその尾について、足を弾ませながら、連れられてゆくお久良の手をグングンと引っ張って行く。
「昨夜わざわざ万吉さんが、禅定寺で落ちあうからと、寮へ知らせてきたことだから、決して、嘘じゃないだろう、お綱さんは、きっとお前たちを待っていますよ」