Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 261.216 caracteres · 521 pantallas
そして、滅入りがちな心の奥で、
「先からわがままなお米さんではあったけれど、元は癆咳を苦にしていて、沈みがちな気性だったのが、わずかの間に、どうしてアア捨鉢に変ってしまったのだろう。家へ帰りたくないというのも、自分に、目的があるからには違いないが、あのまま自堕落になって行ったら、女の一生を末はどうするつもりなのだろう」と、考えたりして、他人事ながら胸を痛めていると、また不意に、トントントンとさっきよりは荒い足どりで、お米がそこへ降りてきた。
黙って、勝手へよろけてゆくふうなので、
「そら、やっぱりお腹がすいてきたんでしょう」
とお吉が、つとめて、冗談に話しかけると、お米は手桶の中から水柄杓を取って、
「おばさん、私、気ばらしに、お酒を飲んだの」
ポッと目元を妖艶に赤くして、あられもなく柄杓へ唇を寄せていった。
「えっ、お酒を」
あっけにとられて、お吉は座敷のほうから目をみはっていた。
しどけない姿で、流し元に立って行ったお米は、上気して、襟元まで桜色になっていた。そして手桶から取った柄杓の水を飲んで、
「……ア、おいしい」
水をはねかして柄杓を投げこむと、ひょろひょろと戻ってきて、梯子段へよりかかった。