Clásicos japoneses con furigana
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
Lee おごそかな渇き (おごそかなかわき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 36.042 caracteres · 71 pantallas
「ブラジルのことは知らないけれど」と彼は噛んでいた物を飲みこんで云った、「アルゼンチンだったかな、人間が二千万、牛がその倍の四千万頭もいるそうだ」
「んーまあ」りつ子は眼をまるくした、「牛のほうが人間の倍もいるの」
「それに比べれば、日本の国がどんなに小さくて、その小さな狭い国に、一億ちかい人間がひしめきあっていること、一メートル四方の地面、コップ一杯の水さえ大切だということがわかるだろう」
「でもさ」りつ子はまた焼きむすびを取りながら云った、「それだから空地や水の少しぐらい分けあうのがほんとじゃない」
「そうだね、それが本当だろうと誰だって思うだろうよ」と彼は云った、「でも実際にはそういかないらしいんだ」
アメリカの某州の三分の一しかない国土だからこそ、僅か十メートル四方の土地を持ってもそれを誇りにし、そこに生える一本の草も「おれの地所の物だ」といばる。コップ一杯の水は「おれの地所の物」なのだ。りつ子のいうとおり、それで牛が飼えるわけではない。草原で弁当を喰べても、なに一つ減るわけではない。ただあの老人は、そこが自分の「地所」であるということを誇示したいだけだったのだ。