Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lee かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 91.006 caracteres · 182 pantallas

Aozora Bunko

「トム公か。困ったやつじゃの」

「ほんとに、とんでもない者を預かってしまいましたわね。警察へおいてくれればいいのに」

と、お槙もいっしょに、眉をひそめた。

「だが、女将の証言がほんとだとすると、あれが千坂男爵の身よりのものだというのだから、そう分ってみると、署長も処置に困っとるんだろう。……おいあの小僧に、トム公に、そう言え、病人があるんじゃから、そんなものは吹いては困るって」

女中は旨をうけて、さっそく露台へ上がって行ったらしいけれど、ハーモニカはやまなかった。

理平は一睡したいのであったが、それが気になって寝る気にもなれなかった。千歳へ電話をかけさせてみると、女将はきのう東京へ行ってまだ帰って来ないとのことで、結局、そこへも当りようがなく、隣室へ寝床を命じて、横になった。

読みかけていた新聞にも、すぐに眼がつかれて、二、三時間ほど彼はウトウトとしていた。――すると隣室で、聞き馴れない来訪者の声がひびいた。

「ごじょうだんでしょう、君! 嘘を言ッたって、だめよ」

それは、男とも聞えるし、女ともうけとれるアクセントだった。

「――居留守なんて、古手だわよ、第一、君、自身ですら、女中にいないと言わせておきながらここにいるじゃないの。