Clásicos japoneses con furigana
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
Lee かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 91.006 caracteres · 182 pantallas
が、――トム公は、巡査のすがたを見ると、反撥的に、反抗的に、
「おら、誰にだって、富麿なんて、呼ばれたことはねえもの。おら、トム公だ。かんかん虫のトムだ!」
佩剣をにぎって、立っていた巡査部長は、何か手帖へとめていた鉛筆の尖を向けて、
「あれだろう、引ッぱり出したまえ」
と、部下へ言った。
巡査たちの泥靴が、床をふまないうちに、トム公はバネにかけられたように、木靴を両手にさげて、外へ飛び出した。
「逃げるもんか! 誰が逃げる!」
駄々ッ子のように呶鳴りちらして、彼が、木靴へ足を入れると、彼の母親の泣く声が長屋中を起した。隣、隣、隣、前、前、前、イロハ長屋のすべての戸があいて、同時に、露地をふさぐほどな人影が、真っ黒に、そこへ群れた。
「なんで、トム公を引っ張って行くんだ」
と、まっ先に、食ってかかったのは、屠殺場へ通っている仙吉という男だった。
警官たちは、牛を殺す時のような嶮しい眉間をした男の権まくに驚いて、一応の釈明を与えた。
「山手署の方では、全然関知しないことだが恐喝罪ということで、拘引するんじゃ、署ではすぐ、水上署の方へ引き渡すから、あっちへ行って、聞いたらよかろう」