Clásicos japoneses con furigana
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
Lee かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 91.006 caracteres · 182 pantallas
で、まっすぐに、ほとんど一散に、手を振って貧民街のイロハ長屋の露地口まで帰って来ると、誰かうしろから、大きな手が彼の肩をつかんで、
「トム公じゃねえか」と言った。
振り向いてみると、同じ長屋にいる屠牛場の仙さんだった。仕事場からの帰りとみえて、仙吉は片っぽの手に竹の皮包みをぶらさげて、少し異様な眼をして彼を見つめた。
「どこへ行くつもりだ? トム公」
「家へ帰るのさ」
「とんでもねえことだぞ」と仙吉は誇張した声で、「長屋にゃあれから後、毎日、一人ずつ刑事が交代で来て、見張っているのを知らねえのか」
「捕まッたっていい。おらあ行くよ、おらあおっ母あに会いに来たんだ」
と、張りつめて来た愛慕が、拒めるものの好意にさえ感傷になって、つよくさけんだ。
「ばかを言いねえ。おめえが捕まったらどうするんだ。亀田さんの出獄て来るあてもなくなるし、おめえのおふくろまでが、どんなに嘆くかわかりゃしねえぞ。……だからよ、おふくろも、病院へはいる間際まで、そればかり周りの者にたのんで行ったって言うぜ」
「おっ母あが病院へはいったって」
「知らねえのか」
「知らねえ」
「おめえが帰られなくなってから、病臥についちまったんだ。