Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Lee こころ de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 160.915 caracteres · 322 pantallas

Aozora Bunko

汚れたのを用いるくらいなら、一層始めから色の着いたものを使うが好い。白ければ純白でなくっちゃ」

こういわれてみると、なるほど先生は潔癖であった。書斎なども実に整然と片付いていた。無頓着な私には、先生のそういう特色が折々著しく眼に留まった。

「先生は癇性ですね」とかつて奥さんに告げた時、奥さんは「でも着物などは、それほど気にしないようですよ」と答えた事があった。それを傍に聞いていた先生は、「本当をいうと、私は精神的に癇性なんです。それで始終苦しいんです。考えると実に馬鹿馬鹿しい性分だ」といって笑った。精神的に癇性という意味は、俗にいう神経質という意味か、または倫理的に潔癖だという意味か、私には解らなかった。奥さんにも能く通じないらしかった。

その晩私は先生と向い合せに、例の白い卓布の前に坐った。奥さんは二人を左右に置いて、独り庭の方を正面にして席を占めた。

「お目出とう」といって、先生が私のために杯を上げてくれた。私はこの盃に対してそれほど嬉しい気を起さなかった。無論私自身の心がこの言葉に反響するように、飛び立つ嬉しさをもっていなかったのが、一つの源因であった。