Clásicos japoneses con furigana
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
Lee ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) de 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.523 caracteres · 37 pantallas
『磁石を見たのです』若い方も少し怒りながらいったわ。
『見せて見たまえ』年寄りの方が引ったくるように磁石を受け取ってしばらく見てたっけ。
『馬鹿な。君はどうかしているこっちが北だから、君のいう方は東北じゃないか』
『そんなはずはありません』若い方はむっとしながら、磁石を受け取ったの。それから頓狂な声を出したわ。
『オヤ、変だ。さっき見た時と針の指し方が違う』
『馬鹿な事をいっちゃいけない。磁石の針が五分や十分の間に狂うものか』
『――』腑に落ちないのでしょう。若い人は黙ってじっと磁石を見つめていたわ。
議論はともかく、遺言を出さねばならないでしょう。西北の隅というのは大きな本箱のある所ですものね。総がかりで本箱を動かしてね。検事さんが調べるとね。じきに板のズレる所が分かって、鍵穴があったの。鍵は無論合うし、訳なく遺言状が出たわ。奥さんでなければ開けられないので、あたしが枕頭に持って行って開けたの。中にはいろいろ細かい事が書いてあったけれども、別に一枚の紙があって、思いがけない大変なことが書いてあったの。余程興奮してお書きになったと見えて、ブルブル震えて、字の大きさや行なども不揃いだったわ。