Clásicos japoneses con furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lee ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.515 caracteres · 27 pantallas
すると、一〇一号氏は、うわッと一礼してから、
「いかにも仰せの通りでございます。しかし、それは鍵と申しましても、鋳物で作った鍵ではございませン。つまり、幸福を握る秘訣といったようなものでございますヨ。一口に申しますとですナ。無限に金を儲ける術でございます。……一九二五年のことでございますヨ。手前は交趾支那の安交から暹羅の迷蘭地方へ猛獣狩りに参りました。するてえと、ある夏の暑い日でしたナ。ちょっとした水溜りのわきへ『虎落し』を仕掛け、米の樹のそばで銃を構え、虎が水を飲みに来るのを待ってると、近くで怪しいうなり声がするんですナ。近寄って見ると、まるで玉蜀黍の茎のようにやせた百五六十歳の老人が、日射病にやられて苦しんでいるのですヨ。そこであり合せの兎の足で喉を撫でたり、蓮の葉っぱで頭を包んでやったり、いろいろ介抱しましたら、それでどうにか一命は取り留めたんですナ。非常に感謝しましてネ。教えてくれたのがこの術なんです。つまり、五呎以内にある物体なら、なんでも手元へ呼び寄せることができるんですナ」
といいながら、チョッキの衣嚢から、朱色の模擬貨幣を取り出して、大きな白鳥を薄浮彫した机の上に置いた。