Clásicos japoneses con furigana
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ヘヤーピンいっぽん
ヘヤーピン一本
豊島 与志雄
Lee ヘヤーピン一本 (ヘヤーピンいっぽん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 8246 caracteres · 17 pantallas
料理などもたいてい、彼女がおばさんと呼んでるひと、あちらに住んでる親戚のひとであろうが、そのひとがしてくれてるようだ。
「このひとは、まったくお姫さまだよ。」と岩木は言った。
だがそんな話は、つまり家庭的な個別的な話題は、すぐに飛び越えて、他の重大な話に、つまり一般的な話題に、移っていった。
そして、眼には見えないが仄かに暮れかけてきた頃のこと、玄関のベルが鳴った。久子さんが出て行った。しばらくして彼女は戻って来た。
「清水さんに、お客さまですよ。」
俺は合点がゆかないのだ。
「間違いでしょう。僕はここではほかに知人はないし、昨晩、それも夜明け前に……。」
言いかけて、ふと思い当った。
「どんな人ですか。」
「若い女のひとです。」
俺は息を呑んだ。自分でふしぎなほど狼狽し、それから腹が立った。
「追い返して下さい。図々しいにも程がある。呆れた奴だ。」
「どうしたんだい。」と岩木が尋ねた。
そこで俺は、話し忘れていたこと、あのヤミ宿での一件を、あらまし打ち明けた。
「なあんだ、それだけか。いたずらでもしたんじゃないのかい。」
「なんぼ俺が物好きでもね。ただちょっと、感傷的に同情したものだから、名刺の裏に君の名前を書いて渡した、それがしくじりの元だ。