Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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いっせきわ

一夕話

芥川 竜之介

Lee 一夕話 (いっせきわ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 5921 caracteres · 12 pantallas

Aozora Bunko

「何しろこの頃は油断がならない。和田さえ芸者を知っているんだから。」

藤井と云う弁護士は、老酒の盃を干してから、大仰に一同の顔を見まわした。円卓のまわりを囲んでいるのは同じ学校の寄宿舎にいた、我々六人の中年者である。場所は日比谷の陶陶亭の二階、時は六月のある雨の夜、――勿論藤井のこういったのは、もうそろそろ我々の顔にも、酔色の見え出した時分である。

「僕はそいつを見せつけられた時には、実際今昔の感に堪えなかったね。――」

藤井は面白そうに弁じ続けた。

「医科の和田といった日には、柔道の選手で、賄征伐の大将で、リヴィングストンの崇拝家で、寒中一重物で通した男で、――一言にいえば豪傑だったじゃないか? それが君、芸者を知っているんだ。しかも柳橋の小えんという、――」

「君はこの頃河岸を変えたのかい?」

突然横槍を入れたのは、飯沼という銀行の支店長だった。

「河岸を変えた? なぜ?」

「君がつれて行った時なんだろう、和田がその芸者に遇ったというのは?」

「早まっちゃいけない。誰が和田なんぞをつれて行くもんか。――」

藤井は昂然と眉を挙げた。

「あれは先月の幾日だったかな? 何でも月曜か火曜だったがね。