Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Lee 三国志(八) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N1. Toca una palabra para ver el significado.

N1 · avanzado · kanji y kana modernos · 195.604 caracteres · 391 pantallas

Aozora Bunko

ただ朕の為に善処せよ」

劉禅は、これを告ぐるのがやっとであった。夜来の重臣会議もまだ一決も見ずにある。沈湎蒼白、誰の顔にも生気はない。

「呉を恃みましょう。陛下の御輦を守って、呉へ奔り、他日の再起を図らんには、またいつか蜀都に還幸の日が来るにちがいありませぬ」

「いや呉は恃み難い。むしろ呉は、蜀の滅亡をよろこぶ者であっても、蜀のために魏と戦うような信義のないことは、丞相孔明の死去のときから分りきっている」

「いっそ、南方へ蒙塵あそばすのが、いちばん安全でしょう。南方はまだ醇朴な風があるし、丞相孔明が布いた徳はまだ民の中に残っています」

衆論は区々である。帝はただ迷うばかりだった。

ときに重臣の周が、やっと不器用な口つきで、最後に私見を述べた。

「もの事にはすべて、始めがあり終りがあり、また中道があります。始めや途中のことなら一時の変ですから、挽回の工夫もあり、立て直しもききますが、今日の変は、要するに、丞相孔明が逝かれた後の万事の帰着です。天数の帰結です。もういけません。呉へ奔るも愚策、南方に蒙塵あるも、何もかも、唯、末路の醜態を加えることでしかありません。