Clásicos japoneses con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lee 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.721 caracteres · 296 pantallas
――わたくしのからだがよごれていず、むすめのままだということを知っていただきたいからです。
手紙はそうむすんであった。
千之助は小机の上に手紙を披いたまま、おしののほうへ眼をやった。庇を打つ雨の音はまだやまず、風が出たのか、横のほうで笹の葉の揺れ騒ぐのが聞えた。
おしのは平安な顔をしていた。白蝋のような頬にも、のびやかな眉にも、赤みの失せた唇にも、苦痛の色は些かもなく、まるで眠りながら微笑しているような、おちついた安らかな顔つきであった。
「おしの、私にはなにも云えないよ」と彼はおしのの死顔に向かって囁いた、「おまえのしたことが正当であったかなかったか、私にはわからない、だがおまえはそうしたかった、そうせずにはいられなかった、ということだけは真実だ、――しんじつそうせずにいられなかったとすれば、それをしたことについて悔やむ必要はないよ」
彼は眼をつむって、また続けた、「丸梅の源次郎は私が引受けた、彼には充分に、彼の罪の味を思い知らせてやるよ、――おまえはもう父親の側へいっているだろう、心をいためたり、人の眼を恐れたりすることもない、父親の側でゆっくり休むがいい、もう誰もおまえの邪魔をする者はないからな」