Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼくのむかし

僕の昔

夏目 漱石

Lee 僕の昔 (ぼくのむかし) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3276 caracteres · 7 pantallas

Aozora Bunko

根津の大観音に近く、金田夫人の家や二弦琴の師匠や車宿や、ないし落雲館中学などと、いずれも『吾輩は描である』の編中でなじみ越しの家々の間に、名札もろくにはってない古べいの苦沙弥先生の居は、去年の暮れおしつまって西片町へ引き越された。君、こんどの僕の家は二階があるよと丸善の手代みたように群書堆裡に髭をひねりながら漱石子が話していられると、縁側でゴソゴソ音がする。見ていると三毛猫の大きなやつが障子の破れからぬうと首を突き出して、ニャンとこちらを向きながらないた。

あの猫はね、こっちへ引きこしてきてからも、もとの千駄木の家へおりおり帰って行くのだ。この間も道であいつが小便をたれているところをうまくとっつかまえて連れて戻った。やっぱしもとの家というものは恋しいものかなあ。――何、僕の故家かね、君、軽蔑しては困るよ。僕はこれでも江戸っ子だよ。しかしだいぶ江戸っ子でも幅のきかない山の手だ、牛込の馬場下で生まれたのだ。

父親は馬場下町の名主で小兵衛といった。別に何も商売はしていなかったのだ。何でもあの名主なんかいうものは庄屋と同じくゴタゴタして、収入などもかなりあったものとみえる。