Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子

吉川 英治

Lee 剣の四君子 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.514 caracteres · 22 pantallas

Aozora Bunko

四

神主さんは、年老っているから、おらが嬰児の時分のことでも知っているだろ。話して、話して。よう、誰にもいわないから、俺にだけほんとのことを話してよう……」

守人も、眼を上げていた。

麦がよく伸びる頃の昼間の月に、禽の音が澄んでいた。

四

禰宜の守人に連れられて、甚助は、家へ戻った。

守人から何か聞くと、彼の母は、いつにない改まった眼で、わが子を見、

「口を嗽ぎなさい。手を洗っておいでなさい。そして、お仏間へ来るがよい」

と、云った。

甚助は、云われた通り、身躾みを作って、後から仏間へ行ってみると、母と守人が寂として坐っていた。

御先祖の壇には、御灯があがっていた。

「きょう初めてはなすが、真は、其方の父は、人手にかかってお果てなされたのです」

母は、水のような声で、子に告げた。泣いてもいなかった。しかし、泣いている以上なものを、甚助は、その母の眼に見た。

それきり多くを母自身は語らなかった。

若くて美しかったその頃の彼女自身が、良人の横死の一原因であったせいもあろう。

が、あらましは、事情に詳しい守人が、噛んで喞めるように聞かせてくれた。甚助が生れたその年のことだというから、天文十六年のことにちがいない。