Clásicos japoneses con furigana
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さんじゃくかく
化鳥・三尺角 他六篇
泉 鏡花
Lee 化鳥・三尺角 他六篇 (さんじゃくかく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.536 caracteres · 27 pantallas
十
(左様だ、今頃は弥六親仁がいつもの通、筏を流して来て、あの、船の傍を漕いで通りすがりに、父上に声をかけてくれる時分だ、)
と思わず振向いて池の方、うしろの水を見返った。
溜池の真中あたりを、頬冠した、色のあせた半被を着た、脊の低い親仁が、腰を曲げ、足を突張って、長い棹を繰って、画の如く漕いで来る、筏は恰も人を乗せて、油の上を辷るよう。
するすると向うへ流れて、横ざまに近づいた、細い黒い毛脛を掠めて、蒼い水の上を鴎が弓形に大きく鮮かに飛んだ。
十
「与太坊、父爺は何事もねえよ。」と、池の真中から声を懸けて、おやじは小屋の中を覗こうともせず、爪さきは小波を浴ぶるばかり沈んだ筏を棹さして、この時また中空から白い翼を飜して、ひらひらと落して来て、水に姿を宿したと思うと、向うへ飛んで、鴎の去った方へ、すらすらと流して行く。
これは弥六といって、与吉の父翁が年来の友達で、孝行な児が仕事をしながら、病人を案じて居るのを知って居るから、例として毎日今時分通りがかりにその消息を伝えるのである。与吉は安堵して又仕事にかかった。
(父親は何事もないが、何故魚を喰べないのだろう。