Clásicos japoneses con furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lee 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 75.586 caracteres · 159 pantallas
わたくしは大きくゆるやかに動く波のような悲しみ――陶酔に似たような寧ろ快い哀愁に包まれながら、線香の烟を後に残して墓畔を去った。
日本の軍隊が北京で砲火を放ったのはこの年の夏である。わたくしはその後一たびも広尾を過ぎる機会がなかった。
去年爆弾は光林寺の堂を焼いたか、否か、わたくしは知らない。堂後の崖に在ったヒュースケンの墳墓が、もし無事に残っていたなら、わたくしが曽て見た一樹の梅は、十余年の星霜を経ただけその幹を太くし、間もなく花をさかすであろう。
思うに米国進駐軍の兵士は既に幾度か、その国の不幸であった外交官の霊魂を慰めるために、花束と祈祷とを捧げに行ったであろう。そして、春になったら、彼等もまたわたくしと同じように墓畔に薫る一樹の海を見のがさぬであろう。
(昭和廿一年丙戌正月時事新報所載)