Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lee 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 9487 caracteres · 19 pantallas

Aozora Bunko

三

しかも、死骸の右手に確と握ったのは、お勝手に置いてあった、卸し立てのドキドキする出刃庖丁。

「あッ」

駆けつけた人達はさすがに肝をつぶしました。二三人の手で引揚げて朝日の射す庭に揚げて見ると、出刃庖丁を持った死骸の顔には、二眼と見られない、恐ろしい悪相がコビリ付いているのです。

「誰も口外してはならぬぞ――こいつは面倒なことになる、よいか、当人はこの間から気が変になっていて、潮入の井戸に飛込んだことにするのだ」

主人の勘解由はさすがに家名を大事にして、早くもこの事件を揉み消そうとしたのです。

「身投げした者が、井戸の中から自分の手で重い石の蓋が閉められるわけはねえだ」

後ろで大変な抗議を申込む者があります、皆んなの顔が振り返ると、下男の宇太松が、およそ腑に落ちない顔をして、それを見返すのです。

「馬鹿ッ、お前の知ったことじゃ無い、黙っていろ」

主人は真っ向からそれをキメ付けます。

三

主人の厳重な口留めにも拘らず、噂に枝葉がさして八方に飛びました。

「佐久間の内儀が、嫉妬が嵩じてあの綺麗な下女を殺そうとしたのだ。台所から出刃庖丁まで持出したが、悪い事は出来ない、神仏の罰で潮入の井戸に放り込まれたのだろう。