Clásicos japoneses con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lee 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 201.379 caracteres · 394 pantallas
そして、前者には五十年とか百年とか、稀にはそれ以上も供養の絶えない墓があるのに、後者の地区には三十年以上というのは珍しい。ちょっと古いのになると、掃除もされず荒れたままになっているし、その多くは無縁墓で、いつ片づけられるかわからないというものであった。
彼は墓地の西端まであるいてゆき、うしろが竹藪、左右を枯木林で塞がれた二メートル四方ほどの、空地の前で立停った。――そこは赭土に雑草がまばらに枯れているだけで、なにも変ったようすはなかったが、彼はその前にしゃがみこんで、じっと赭土の一点を見まもった。
「プールを作るのは賛成だね」彼は口の中で云った、「――庭の芝生のまん中がいいかな、エバー・グリーンのまん中に、白タイル仕上げのプールがあるのは悪くないよ、ちょっとしたブルジョワ気分じゃないか」
仔犬は雨に濡れて寒くなったためか、彼の脇にぴったりより添って坐り、躯をこまかくふるわせながら、彼の顔を見あげたり、ときどき「帰りましょうよ」とでも呼びかけるように、低い鼻声でないたりした。
彼の蓬髪もぶしょう髭も、その着ているぼろ布子も、絞るほど濡れてしまったし、蓬髪からたれる雨のしずくが、額から頬、そして顎や頸へとしたたり落ちた。