Clásicos japoneses con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lee 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 201.379 caracteres · 394 pantallas
相沢は「た」と云いかけて絶句した。おそらく彼は、たったいまからと繰り返すつもりだったのだろうが、そのとたんに、屋台店の外で声がしたのだ。
「は、じ、め、さん」相沢はあぶなく腰掛から転げ落ちそうになり、するとのれんをあげて光子が顔を見せた。
「肉屋へ来た帰りなの、あんたの声が聞えたもんだから」と云ってお光は相沢のほうへ振返った、「あら、相沢さんもいらしったんですか、ちっとも気がつきませんでしたわ」
「ね、ぼくがそ云ったでしょう」と次のとき福田くんは焼酎のグラスを舐めながら云った、「光子のやつはなにもかも見とおしなんですよ、あのときだって本当は肉屋へいったんじゃない、ぼくたちの話を見とおしてやって来たにちがいないんです」
「おらああんなに吃驚したこたあなかった、生れてこのかた初めてだな」と相沢がいった、「おや、相沢さんもいたんですかって、振向かれたときには、ぎゅーっと力いっぱい眼をつぶったよ」
「眼をつぶったんですって」
「ああつぶった、あの人が眸を凝らしてじーっとみつめ、唇だけでにーっと微笑でもしたらって思うと、もうおっかなくてとても眼をあけてなんぞいられやしない、――思いだすといまでも」