Clásicos japoneses con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lee 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 350.912 caracteres · 702 pantallas
「あ。表の質屋の旦那でしたか」
「朝はいいね、清々しくて」
「ええ」
「毎日、朝めし前には、こうして海辺をお徒歩いかね。養生にはいちばんいいからな」
「どういたしまして、旦那のような御身分なら、歩くのも養生かもしれませんが……」
「顔いろがよくないな」
「へえ」
「どうかしたのかい」
「…………」
又八は、一握りの砂を拾って、風の中へ撒いていた。
急場の算段をしに行くたびに、又八も朱実も、いつもこの質屋の旦那とは、店で顔を突きあわせていた。
「そうだ。いつか折があったらと思い思い、いい機もなく過ぎていたが、又さん、おまえ今日は、商いに行くのかい」
「なんですか。行ったって行かなくたって、西瓜や梨を売っていたんじゃ、どうせ埒はあきやしません」
「鱚を釣りに行かないか」
「旦那――」
と、又八は、悪いことでも詫びるように、頭を掻いて、
「あっしゃあ、釣はきらいですが」
「何さ、嫌いなら、釣らなくてもいい。――そこにあるのは家の持舟だが、ただ沖まで出てみるだけでも、気が晴れるぜ。棹ぐらいは突けるだろう」
「へい」
「まあおいでよ。おまえに、小千両も儲けさせてやろうという相談だ――。嫌かい」