Clásicos japoneses con furigana
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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Lee 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) de 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 203.161 caracteres · 412 pantallas
旅日記から
一 シャンハイ
四月一日
朝のうちには緑色をしていた海がだんだんに黄みを帯びて来ておしまいにはまっ黄色くなってしまった。船の歩みはのろくなった。艫のほうでは引っ切りなしに測深機を投げて船あしをさぐっている。とうとう船が止まった。推進機でかきまぜた泥水が恐ろしく大きな渦を作って潮に流されて行く。右舷に遠くねずみ色に低い陸地が見える。
日本から根気よく船について来た鴎の数がだんだんに減ってけさはわずかに二三羽ぐらいになっていたが、いつのまにかまた数がふえている。これはたぶんシナの鴎だろう。
四月二日
呉淞で碇泊している。両岸は目の届く限り平坦で、どこにも山らしいものは見えない。
シナ人の乞食が小船でやって来て長い竿の先に網を付けたのを甲板へさし出す。小船の苫屋根は竹で編んだ円頂で黒くすすけている。艫に大きな飯たき釜をすえ、たきたての飯を櫃につめているのもある。その飯の色のまっ白なのが妙に目についてしようがなかった。そしてどういうものか悲しいようなさびしいような心持ちを起こさせた。
テンダーに乗って江をさかのぼる。朱や緑で塗り立てたジャンクがたくさんに通る。