Clásicos japoneses con furigana
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つきとあざらし
小川未明童話集
小川 未明
Lee 小川未明童話集 (つきとあざらし) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 9033 caracteres · 20 pantallas
おばあさんは、いま自分はどこにどうしているのかすら、思いだせないように、ぼんやりとして、ゆめをみるようにおだやかな気持ですわっていました。
このとき、外の戸をコト、コトたたく音がしました。おばあさんは、だいぶ遠くなった耳を、その音のする方にかたむけました。いまじぶん、だれもたずねてくるはずがないからです。きっとこれは、風の音だろうと思いました。風は、こうして、あてもなく野原や、町を通るのであります。
すると、こんどは、すぐ窓の下に、小さな足音がしました。おばあさんは、いつもににず、それをききつけました。
「おばあさん、おばあさん。」と、だれかよぶのであります。
おばあさんは、さいしょは、自分の耳のせいではないかと思いました。そして、手を動かすのをやめていました。
「おばあさん、窓をあけてください。」と、また、だれかいいました。
おばあさんは、だれが、そういうのだろうと思って、立って、窓の戸をあけました。外は、青白い月の光が、あたりをひるまのように、明るく照らしているのであります。
まどの下には、背のあまり高くない男が立って、上をむいていました。男は、黒いめがねをかけて、ひげがありました。