Clásicos japoneses con furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lee 嵐 (あらし) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 54.007 caracteres · 108 pantallas
太郎はまたこの新築した二階の部屋で初めての客をするという顔つきで、冷めた徳利を集めたり、それを熱燗に取り替えて来たりして、二階と階下の間を往ったり来たりした。
「太郎さんも、そこへおすわり。」と、私は言った。「森さんのおかあさんが丹精してくだすったごちそうもある――下諏訪の宿屋からとうさんの提げて来た若鷺もある――」
「こういう田舎にいますと、酒をやるようになります。」と、森さんが、私に言ってみせた。「どうしても、周囲がそうだもんですから。」
「太郎さんもすこしは飲めるように、なりましたろうか。」と、私は半分串談のように。
「えゝ、太郎さんは強い。」それが森さんの返事だった。「いくら飲んでも太郎さんの酔ったところを見た事がない。」
その時、私は森さんから返った盃を太郎の前に置いて、
「今から酒はすこし早過ぎるぜ。しかし、きょうは特別だ。まあ、一杯やれ。」
わが子の労苦をねぎらおうとする心から、思わず私は自分で徳利を持ち添えて勧めた。若者、万歳――口にこそそれを出さなかったが、青春を祝する私の心はその盃にあふれた。私は自分の年とったことも忘れて、いろいろと皆を款待顔な太郎の酒をしばらくそこにながめていた。