Clásicos japoneses con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lee 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 195.333 caracteres · 385 pantallas
彼の退嬰主義も半ばはこの安泰な境遇に慣れて、奮闘の刺戟を失った結果とも見られる。というものは、父が比較的立派な地位にいたせいか、彼には世間体の好いばかりでなく、実際ためになる親類があって、いくらでも出世の世話をしてやろうというのに、彼は何だかだと手前勝手ばかり並べて、今もってぐずぐずしているのを見ても分る。
「そう贅沢ばかり云ってちゃもったいない。厭なら僕に譲るがいい」と敬太郎は冗談半分に須永を強請ることもあった。すると須永は淋しそうなまた気の毒そうな微笑を洩らして、「だって君じゃいけないんだから仕方がないよ」と断るのが常であった。断られる敬太郎は冗談にせよ好い心持はしなかった。おれはおれでどうかするという気概も起して見た。けれども根が執念深くない性質だから、これしきの事で須永に対する反抗心などが永く続きようはずがなかった。その上身分が定まらないので、気の落ちつく背景を有たない彼は、朝から晩まで下宿の一と間にじっと坐っている苦痛に堪えなかった。用がなくっても半日は是非出て歩るいた。そうしてよく須永の家を訪問れた。一つはいつ行っても大抵留守の事がないので、行く敬太郎の方でも張合があったのかも知れない。