Clásicos japoneses con furigana
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ハムレット
怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット
久生 十蘭
Lee 怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット (ハムレット) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 72.034 caracteres · 142 pantallas
恵須取山の火口を出て、十年ぶりに日本の景色を一目見たときは、いったい、どんな気持がするだろう、という意味らしかった。
ひとたまりもなかった。すこししずまりかけていた号泣の声は、これで、以前にもまして凄まじくなった。
その間を貫いて、突然、けたたましい笑い声が響きわたった。痩せこけた、眼ばかり大きい、影のような老人だった。右足は膝ぎりしかなくて、そこに、木の副木をあてていた。
火のついたような笑い声は、それから、しばらく続いていたが、まもなく、低いすすり泣きの声にかわって、
「……おら、こんな不具だすけ、とッても、そんなとこさ、ついて行けねえべ。……おら、ひとり、こんなとこさ残されて、どうしてこれから、生きていかれるべ。おら、いやだ、おらいやだ」
血死期のように叫ぶと、同じ鎖に繋がれている、二十四、五のだぶだぶのルパシュカを着た男を、とつぜん、後から羽交締めにして、
「留吉、あきらめで、おらどいっしょに、死んでけれ。……な、な、……頼むすけ」
羽交締めにしたまま、力まかせに泥洲の方へ曳きずってゆく。
そこから河岸までは、ものの、十歩とはなかった。留吉という痩せた青年は、蠅のようにいそがしく手先だけを動かしながら、もう、必死の声だった。