Clásicos japoneses con furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Lee 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 72.671 caracteres · 149 pantallas
黄八丈の小袖
上
上
「あの、お菊。ちょいとここへ来ておくれ。」
今年十八で、眉の可愛い、眼の細い下女のお菊は、白子屋の奥へ呼ばれた。主人の庄三郎は不在で、そこには女房のお常と下女のお久とが坐っていた。お久はお菊よりも七歳の年上で、この店に十年も長年している小賢しげな女であった。
どんな相談をかけられたか知らないが、半ほどの後にここを出て来たお菊の顔色は水のようになっていた。お菊は武州越ヶ谷の在から去年の春ここへ奉公に来て、今年の二月の出代りにも長年して、女房のお常にも娘のお熊にも可愛がられていた。時々に芝居やお開帳のお供にも連れて行かれていた。
お菊は一旦自分の部屋へ退ったが、何だか落付いていられないので、又うろうろと起ち上って台所の方へ出た。白子屋は日本橋新材木町の河岸に向った角店で、材木置場には男達の笑い声が高く聞えた。お菊はそれを聞くとも無しに、水口にある下駄を突っかけて、台所から更に材木置場の方へぬけ出して行った。そこには五六人の男が粗削りの材木に腰をかけて何か面白そうに饒舌っていた。その傍に飯炊の長助がむずかしい顔をして、黙って突っ立っていた。
「お菊どん。