Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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いけぶくろのかい

文藝別冊[総特集]岡本綺堂

岡本 綺堂

Lee 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 72.671 caracteres · 149 pantallas

Aozora Bunko

若旦那は婿である、若いお内儀さんは家附の娘である。お前はここの店の家来でありながら家附の娘を殺しても、入婿の若旦那に忠義を立てたいのか。それでは奉公の筋道が違いはしないかと、その時代の人には道理らしく聞えたような理屈責にして、お久は頻にお菊の決心を促した。それでも彼女は素直にその道理の前に屈伏することを躊躇した。まあ兎も角も明日まで待ってくれと、お菊は一寸逃れの返事をして、ようよう其処から逃げ出して来たのであった。

「どうしたら可いだろう」

彼女はだんだんに暗くなってゆく水の色を眺めながら、夢見る人のように考えつめていた。退引ならない難儀を逃れるのには、寧そここを逃げて帰るに限るとも思った。しかし年季中に奉公先から無暗に逃げて帰ったら、物堅い両親が何と云うであろう。たといこの訳を打明けても恐らく真実とは思ってくれまい。自分の我儘から奉公を嫌って、そんな出鱈目の口実を作って逃げ出して来たものと思われて、厳しく叱られるに相違ない。そうして、正直一図の阿父さんは忌がる妾を無理無体に引摺って、再びこの店へ連れて来るに相違ない。そうなったら、お内儀さんや若いお内儀さんから何んなに憎まれるであろう。