Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas

Aozora Bunko

せめて明年の義元が上洛の折まで待つがよい)

三河の古老たちは、義元のこのことばを手形として、帰国したのであった。

これは、嘘ではあるまい。

義元上洛の計画は、今ではかくれもないことで、ただ時期の問題であった。

強大な国富と軍備をもって、それを秘密裡に目標としていた期間はすぎて、

(大挙はいつだ?)

だけが残っている。

今川家でそれを余りに堂々と広言しているので、かえって今川家が、覇を誇示する表情ではないかと観ている向きもあるくらいである。

ただここで、新たに知れた一事は、三河の古老どもへ対して、義元が、

(明年には)

と、時期を確言したことだった。義元の胸にはすでに、決行の時期が熟して来たものと視られ、三河衆にとっては国への一つの土産になった。

――さて。

前にもどって。

安倍川の中ほどに、鵜殿甚七と元康とを乗せて、密談に時を移していた小舟は、やがて話もすんだとみえ、棹さして岸へ帰って来た。

「では、ここで」

と甚七はすぐに、笈を負い、杖を持ち直して、別れを述べた上、

「おことばの由、逐一、鳥居様、酒井様などへ、お伝えいたしておきまする。――その他の儀はべつに?」