Clásicos japoneses con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lee 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.032 caracteres · 22 pantallas
五
国からも急がれていたし、こういういきさつがあっては奉公しにくいからと八重はそういって、間もなく暇を取り、川越在にある自分の家へと帰っていった。……新五兵衛も平三郎も、それきり八重のことは口にしなかったが、なお女は可愛がっていた者だけに時どき思いだしては憎がった。たしかになお女は、八重を愛していた、針の持ち方、行儀作法はいうまでもないが、髪かたちから着付けの端まで自分で面倒をみた。読み書きも教えてみると筋がよいので、召使には不似合なところまで導いてやった。それほどにしてやったのにああした去り方をしたことが、事情はわかっていながらなにか裏切られたような気持がしてならないのである、しかし、そう憎がりながら、一方ではまた結果のこうなったことをよろこんでいる風もあった。
「なんといっても、召使を妻に入れては世間が済みませんからね、不幸が幸いになったようなものですよ」
「それなら、八重は褒めてやるがいい」
「それとこれとは、別でございますわ」
「おまえのいうことは、矛盾しているよ」
父と母との問答を聞きながら、平三郎は惘然と自分の右手の小指を見まもっていた。
五
芝方のほうは、格別むずかしくはならずに済んだ。