Clásicos japoneses con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lee 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.032 caracteres · 22 pantallas
あのとき憎がった気持はもう少しも残っていなかった。寧ろ自分の可愛がってやった頃の彼女の俤が鮮やかに回想され、仕合せにやっているかどうか、もう子供も二人や三人はあろう、そう思うと会ってゆきたいという気持を激しく唆られた。供の者に所を尋ねさせると、少しまわり道にはなるが遠くはなかった。それでにわかに道を戻って訪ねていった。
家は、すぐにわかった。そこは三十軒ほどの部落の端にある、北側に櫟林をめぐらせた、南向きの、枯れて明るい桑畑を前にした陽当りのよい構えだった。……出迎えたのは四五たび江戸の家へ来たことのある、八重の兄に当る吾八という男だった。彼は妹の旧主と知ると非常に慌てもし喜んで、ぜひ上って休息していって呉れるようにと懇願した。しかしなお女は帰りを急ぐこと、八重に会いたくて立寄ったことなどを告げ、嫁いだ先はこの近くかどうかと訊いた。吾八は却って不審そうに、
「いいえ、八重はまだ家におります」といった。「お屋敷から下りました当時、ずいぶん縁談もあったのですが、どうしても嫁ぐと申しませんで、とうとう嫁きそびれてしまいました」
「でもあのとき約束した人があると聞きましたがね、あれは破談にでもなったのですか」