Clásicos japoneses con furigana
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めいあん
明暗
Lee 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 322.590 caracteres · 645 pantallas
彼女は書き古したノートブックのようなものをいたずらに攪き廻した。それを一々読んで見るのは大変であった。読んだところで自分の知ろうと思う事が、そんな筆記の底に潜んでいようとは想像できなかった。彼女は用心深い夫の性質をよく承知していた。錠を卸さない秘密をそこいらへ放り出しておくには、あまりに細か過ぎるのが彼の持前であった。
お延は戸棚を開けて、錠を掛けたものがどこかにないかという眼つきをした。けれども中には何にもなかった。上には殺風景な我楽多が、無器用に積み重ねられているだけであった。下は長持でいっぱいになっていた。
再び机の前に取って返したお延は、その上に乗せてある状差の中から、津田宛で来た手紙を抜き取って、一々調べ出した。彼女はそんな所に、何にも怪しいものが落ちているはずがないとは思った。しかし一番最初眼につきながら、手さえ触れなかった幾通の書信は、やっぱり最後に眼を通すべき性質を帯びて、彼女の注意を誘いつつ、いつまでもそこに残っていたのである。彼女はつい念のためという口実の下に、それへ手を出さなければならなくなった。
封筒が次から次へと裏返された。