Clásicos japoneses con furigana
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めいあん
明暗
Lee 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 322.590 caracteres · 645 pantallas
それが彼女の自然であった。しかし不幸な事に、自然全体は彼女よりも大きかった。彼女の遥か上にも続いていた。公平な光りを放って、可憐な彼女を殺そうとしてさえ憚からなかった。
彼女が一口拘泥るたびに、津田は一足彼女から退ぞいた。二口拘泥れば、二足退いた。拘泥るごとに、津田と彼女の距離はだんだん増して行った。大きな自然は、彼女の小さい自然から出た行為を、遠慮なく蹂躙した。一歩ごとに彼女の目的を破壊して悔いなかった。彼女は暗にそこへ気がついた。けれどもその意味を悟る事はできなかった。彼女はただそんなはずはないとばかり思いつめた。そうしてついにまた心の平静を失った。
「あたしがこれほどあなたの事ばかり考えているのに、あなたはちっとも察して下さらない」
津田はやりきれないという顔をした。
「だからおれは何にもお前を疑ってやしないよ」
「当り前ですわ。この上あなたに疑ぐられるくらいなら、死んだ方がよっぽどましですもの」
「死ぬなんて大袈裟な言葉は使わないでもいいやね。第一何にもないじゃないか、どこにも。もしあるなら云って御覧な。そうすればおれの方でも弁解もしようし、説明もしようけれども、初手から根のない苦情じゃ手のつけようがないじゃないか」