Clásicos japoneses con furigana
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Lee 林芙美子随筆集 (いなかがえり) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 58.157 caracteres · 118 pantallas
それでも、時々、廃寺のような寺があったり、畑や空地などがあった。寺の門を配した豪奢な別荘もある。廃寺の庭は広々とした芝生で、少年が一人寝転んで呆んやり空を見ていた。白い雲が、疏水の水に影をおとして流れている。いい天気だった。堤の下の赤松越しに、四条行きの電車が走っている。電車道の人家の庭には白い卯の花がしだれて咲いている。磚茶の味のような風が吹く。ごろりと横になりたいような景色だった。蹲踞んで水の面をみていると、飛んでゆく鳥の影が、まるでかなんかが泳いでいるように見える。水色をした小さい蟹が、石崖の間を、螯をふりながら登って来ている。虻のような羽虫も飛んでいる。河上では釣をしている人もいる。何が釣れるのか知らない。底まで澄んでみえるような水の青さだった。時々、客を乗せた屋形船が下りて来る。大津へ帰る船は、船頭が綱を引っぱって、なぎさを船を引いて登って来ている。船は屠殺場行きの牛のようにゆるく河上へ登っている。水のほとりの桜はまだ咲いていた。青葉の間に散りぎわの悪い色褪せた花をのこして、なぎの日のような煙った淡さで咲いていた。
堤を降りて、道を探しながら電車道の方へ行くと、洋服を着た子供たちが、京言葉で泥あそびをしていた。