Clásicos japoneses con furigana
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Lee 林芙美子随筆集 (いなかがえり) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 58.157 caracteres · 118 pantallas
二月は、伊豆の古奈へ行った。丹那トンネルは初めてなので、熱海を出るときから嬉しくて仕方がなかった。八分位かかると聞いたけれども、随分ながいトンネルのような気がした。
熱海の海の色は、ナポリみたいな色をしている。温くて呆んやりしていて、磯はマチスの絵にあるような渚だ。――古奈では白石館と云うのに泊った。ここでは芸者が一時間壱円で、淋しかったのでてるはと云うひとに三時間ほどいて貰った。
三月は上州の方へ行って見たい。旅をしていると、生れて来た幸せを感じるほどだ。家人は、弁当が食べたいからだろうと云う。私は汽車へ乗ると弁当をよく買う。木の匂いがして御飯もおかずもおいしい。汽車へ乗っていると、日頃の倦き倦きしていることが、いっぺんに吹き飛んでしまって、東京へ帰る時などは、田舎女が初めて上京して来るようなそんな気持ちになり済ましているのだ。
一時が打った
誰もよく眠ったのだろう
五万里も先きにある雪崩のような寝息がきこえる
二時になっても三時になっても
私の机の上は真白いままだ
四時が打つと
炭籠に炭がなくなる
私は雨戸をあけて納屋へ炭を取りに行く
寒くて凍りそうだけれども