Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Lee 林芙美子随筆集 (いなかがえり) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 58.157 caracteres · 118 pantallas
何度でも初旅のような気持ちで、私は随分方々へ行った。貯っているだろうと訊くひともあるが、貯っているのは、宿屋の勘定書き位で、全くもって、その日暮らしなのである。云えば、雌山羊の乳をしぼれば、他の者が篩をその下に差し出していると云う、そんなはかない生活なので、躯工合でも悪くなると、あれこれと考えるのだが、まあ、米の飯とお天道様はついてまわるだろうと思っている。月黒うして雁飛ぶこと高しで、どんなみじめな日が来ても、元々裸身ひとつ故、方法はどのようにもなるだろう。
頃日、机に向っていると、矢折れ刀つきた落莫たる気持ちだけれども、それは、自分で這入りいい処をただがさがさと摸索していたに過ぎないのだ。唯一の目的は、まだ遠くにあるのだけれども、所帯を持っていると、今日は今日はで呆んやり暮らして、洗濯ごとや、台所ごとの地帯にいやに安住して眼をほそくしている。
私は「清水の如く特殊の味なし」の仕事を念願しているのだけれども、手踊りがめだつ、嘘やつくりがめだって、何とも苦しくて仕方がない。女と云うものは力が足りないのかも知れぬ。癖の渝らないことは勉強が足りないのだろうけれども、私は、前にも云ったとおり、こんな日向ぼっこをしているような文化生活は困ってしまうのだ。