Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.724 caracteres · 355 pantallas
」
次郎は、いいとも悪いとも答えなかった。しかし彼の不満そうな眼が、あきらかに道江のそんな質問をけなしていた。彼はひとりごとのように、すぐ言った。
「朝倉先生だけだよ、今の時勢にそんなことが堂々と言えるのは。」
道江は心配そうに次郎の顔を見つめていたが、
「もし、おやめになるのがほんとうだったら、どうなさる。」
「むろん、留任運動さ。朝倉先生がやめられたら、学校はもうまるで駄目なんだからね。きっとみんなも賛成するよ。いや、賛成させて見せるよ。僕、きょう、学校でそんな噂をきいたときから、そのつもりでいるんだ。」
「でも、そんなことなすったら、次郎さんたちも大変なことになるんじゃない?」
「どうして?」
「だって、先生のおやめになる理由がそんなだと……」
次郎はきっと口を結んだきり、答えなかった。道江は、それでなお心配そうな顔をして、
「留任運動って、どんなことをなさる?」
「僕、さっきから、それを考えているんだよ。」
「まさか、ストライキなんかなさるんじゃないでしょうね。」
「誰がそんなばかなまねをするもんか。そんなことしたら、かえって朝倉先生に恥をかかせるようなもんだ。