Clásicos japoneses con furigana
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しのこうかい
死の航海
国枝 史郎
Lee 死の航海 (しのこうかい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 8634 caracteres · 18 pantallas
一
一
昨日のように今日も矢っ張り太陽は西に沈んで行く。
夕陽に照らされた地中海は猩々緋のように美しい。船々の甲板、船々の船檣、そして船々の煙突は焔のように輝いている。
阿弗利加の南端。ポートサイド港。季節は夏の真中であった……。
港には人々が出盛っていた。ニスのような皮膚をしたヌビヤ人、ターバンを巻いた亜剌比亜人。袍を纏った波斯人。そうして皆喋舌っていた。多くは大道商人である。
「沙漠から掘り出した金剛石! 大負けに負けて七十銭じゃ! どうじゃなどうじゃな、いらんかな!」
「波斯絹布を買わんかな! 大幅一丈が二円とはどうだ! 安売安売、大安売じゃ!」
「アビシニアで捕らえた甲虫! 宝石のように美しい! 一匹五厘じゃ! 買ったり買ったり」
「薄荷を買わんかなスダンの薄荷を! 肉桂を買わんかなメッカの肉桂を!」
彼等は大方裸体である。そうして大方洗足である。
盛装を凝らした貴婦人を連れた欧羅巴人も歩いている。官吏。旅行者。会社員。運河開鑿の技師なども……。
葉巻をふかしながら一人の紳士が伴れの貴婦人に話しかける。
「……何んというガサツの町でしょう。ポートサイドというこの町は」