Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lee 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 162.213 caracteres · 325 pantallas

Aozora Bunko

「主人は不在かの」

「毎日、駿河町の三井様へ、通い番頭をつとめておりますので、夜分でなければ宅にいたことはございませぬ」

「そうか」

と、塔十郎はうなずいて、

「ではお前でもよいが――いやお前の方がむしろくわしく承知しておるであろうが、この家の女主人――殺害された鷺江ゆき女という者は、いつ頃から当家へ移って参ったのか、それからの事情を細かに話してもらいたいものだが、どうじゃ」

「存じているだけの事は、何なりと申し上げまする」

「む」

と、塔十郎は、ふところから覚え帖と矢立を取り出して何やら誌しはじめた。

女は、お蔦という名からして、それしゃの上りらしく、世事馴れていることばづかいで、問わぬ先までをしゃべり出した。

「たしかこの夏の初め頃かと存じます。はい、こちら様が移って来ましたのは。――そのうちに大蔵流京笛御指南という看板をかけたので、ははあ、女の笛師かと知ったようなわけで、隣り交際もいたしませんから、間に、女主人のお雪様と、口を交わしたこともございません。それでも、塀隣りのことなので、ちょいちょいとご様子を見たり聞いたりしておりましたが、暮しは至って裕福らしく、男気はなく、玉枝さんという若い小間使と二人きりで、お弟子衆の来るたびに、よく笛の音が洩れて参りました」