Clásicos japoneses con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas
「まだ、なんか、用でも……?」
「ちょっと、待って」
マンは、奥に入ると、桐箪笥を探って、巾着を取りだした。十銭銀貨をひとつ、塵紙のなかにひねりこんだ。玄関に出ると、「煙草銭にでも」
そういって、俥ひきに、渡した。
料理屋は、朝が遅い、置屋も同様だ。「飛鳥」が、朝食と昼食とをごっちゃにして、食膳にみんなが揃うのは、大抵、正午過ぎ、それから、掃除がはじまるのである。
花見客の二次会、三次会が、午前一時二時は普通、夜明けがた近くまでも騒ぐ組があって、「飛鳥」の寝たのは、もう、東の空が白むころだった。
お京は、しかし、早くから、眼がさめた。蒲団のなかからは出ず、腹ばいになって、煙草を吸った。障子に、明かるい朝の光線がさしている。
六畳の部屋に、三つ、蒲団が敷きならべてある。同僚の芸者は、誰も、まだ、深更の夢を見ていた。白粉がはげ落ちたり、髪がくずれたり、枕を外したりしていて、あまりよい恰好ではない。夜、化粧をし、お座敷着姿でいると、なかなか美しいが、こうして見ると、興ざめだった。
(昼は、夜の言葉を殺す――なんかの本に、書いてあったわ)
お京は、そんなことを考えて、苦笑が湧いた。