Clásicos japoneses con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas
「流されたところで、湾の奥の方じゃけ、それは心配ないが、……沈んだりすると、どっちも泳げん奴じゃからなあ」
「オヤジ、この嵐は朝までは止まんばい」
「徹夜で船を守るんじゃ」
暴風雨は勢を増す一方だった。
暗くてよくわからないけれども、どこの組からも人数がくりだされて、伝馬船の警戒がなされている。暗夜の中に黒い人かげが動き、カンテラの灯がちらつく。
金五郎は、桟橋の反対側にある大伝馬のことが気がかりになって、荒れ狂う船づたいに、桟橋に飛びあがった。危く足をふみ外して、海に落ちそうになった。やっと這いあがって、桟橋に立った。
正面からのはげしい風雨に、頭を突っこむように、身体を傾けて歩きだしたとき、いきなり、カンテラをなにかで殴った者があった。思わず取り落すと、ガラスが割れて、火が消えた。
「誰か、乱暴するのは?」
そう叫んだ金五郎の眼に、ばらばらと、五六人の人かげが自分を取りかこむのが見えた。稲妻の青い光の中に、その連中の一人々々が、それぞれ抜き身の日本刀、匕首を持っているのが認められた。
手ぶらの金五郎を、一気に斬りふせようという作戦らしく、暴漢たちは、金五郎にかまえる隙もあたえず、いっせいに、襲いかかって来た。