Clásicos japoneses con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas
丸い玉がカランと落ちる。金五郎はこの音が好きだ。ゴクゴクと、ラッパ飲みをした。刺戟の強い冷たいラムネ水が、咽喉を通り抜けて行くと、いくらか、溜飲の下がる心地である。
「ああ、うまい」
と、思わず、声が出た。さらに、一本、飲んだ。
表をあわただしげに走り去る靴音、誰かを探し求める声、呼子の笛、サーベルの音も聞えた。先刻の警官隊かも知れない。
「また、喧嘩かな?」
何組かいる客の一人が、珍しくもなさそうに、大儀らしい口調で呟いた。電気ブランを飲んでいる土方風の男である。
(般若の五郎は、捕まったか知らん?)
憎むに足る不可解な行動をした五郎ではあったが、金五郎は、やはり、彼が無事に逃げ終せることの方を願っていた。
「小母さん、ラムネ、もう一本」
「よく、あがりますね」
「わたしは、ラムネが強いんですよ」
三本目を飲みながら、なにげなしに、卓のうえにひろげられてある新聞を読んだ。読むというより、見たのである。いくらか落ちついて来た金五郎の眼に、雑然と、さまざまな記事の見出しが映った。
――市電一万の従業員、遂に、総罷業。当局の非常時編成も敏活に、巧妙なる攻防戦術。