Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas

Aozora Bunko

「普通の龍は、宝珠をつかんどるが、お父さんのは、菊の花をつかんでいますね。変っとる」

「お前も、彫れんか」

と、いってみた。

「彫れますかな? 本式の親分になる印に。……そしたら、僕も、やっぱり、龍を彫ります。そして、百合の花を肢に握らせますよ」

勝則の瞳は、夢遊病者のような、奇妙な光りかたをしていた。

奥の部屋から、誰か、出て来る足音がした。マンは、あわてて、手紙を財布に入れ、服の内ポケットに押しこんだ。

「おマンさんかえ?」

「はあ」

「金さんと勝則とが、網打ちから帰って来たんじゃなかったな?」

「帰って来て、二人とも、風呂に入っとります」

「腹が減っとりゃせんじゃろか?」

「さあ……? 帰りに、源さんの店に寄って来たようなこと、いうとりましたけど……」

「寝る前に、お茶漬でも食べるんなら、沢庵でも上げてやろうかと思うが……」

「ババンから、聞いてみて下さい」

「そうしようか」と、行きかけたが、ふと気づいたように、二三歩で引きかえして来て、「千博が、すこし熱があって、変な咳をしよるばい。勝則の小いときのごと、馬牌風(ジフテリア)にでもなると大事じゃけ、夜が明けたら、じき、医者に診て貰うがええな」