Clásicos japoneses con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas
嘉吉の言葉には、往来で同じ家に起居している者を見かけたときの親しみが溢れていた。その後、おきぬの耳にそのときの嘉吉の声音が、ふと甦えることがあった。おきぬは嘉吉を気の毒に思わずにいられなかった。それはおきぬが下宿人のために、朝弁当をこしらえたり、また夕方空になった弁当箱を洗ったりするときに、彼女の心によび起こされる気持によく似ていた。おきぬは単に使用人に過ぎなかったけれど、彼女はその持前のやさしさから、下宿人に対してそれ以上の親身な気持を働かさずにはいられなかった。おかみさんの云う通り、おきぬは実のある子であった。
その後、四五日経っても、嘉吉はまだ起きられなかった。いつまでも熱が内に籠っていて、嘉吉は毎晩寝苦しい思いをした。それでも食欲は衰えず、甘い物好きの嘉吉は、おきぬが煮てくれた小豆をうまがって食べた。
「こうしていると、なんだか結構な御身分のようだね。すっかり、おきぬさんに厄介をかけちゃった。」
「なにも寝たついでよ。こんどのかぜはたちが悪いって云うから、無理をしないでゆっくり養生したらいいわ。山田さんはこれまであまり病気をしたことはないんでしょ。