Clásicos japoneses con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lee 銀座復興 他三篇 (いさん) de 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 40.579 caracteres · 82 pantallas
以前は対等の友達づきあいだったのが、主従とまでは行かないでも、今では多少ひけ目を感じる関係になっているので、彼の心持には始終滑かでない陰影があった。学業にこそ身を入れないけれども、何をやっても器用な運動家で好男子の一郎は、富裕に育った友達と一緒に、夏休といえば、恋の冒険の季節のように考えて、避暑地に集る美しい娘達の噂に夢中になっているのだが、澤だけは仲間はずれで、気楽な連中を羨む心持と、軽蔑する心持とを持っていた。自分はそんなのらくら息子とは訳が違うのだと云う誇に頼って、密かになぐさめていた。
しかし、彼の心の中にも、つい近頃になって、一人の女の姿がはっきりと浮ぶようになった。それは養子だった。
養子は曲淵夫人の里の縁類の娘で、これも不幸な身の上だった。事業に失敗した父親が、手形偽造の嫌疑を受けて自殺した後で、継母は他へ再縁し、兄は植民地の病院医として赴任し、外に頼る処がないので、曲淵の世話になる事になった。甲子とは四才違い、乙子とは七才違いの、今年二十一ではあるが、姉妹のためには家庭教師のような地位に置かれ、殊に体の弱い乙子のためには保母の役目さえ負わされていた。