Clásicos japoneses con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lee 銀座復興 他三篇 (いさん) de 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 40.579 caracteres · 82 pantallas
府立の女学校に通っていた頃は、女子陸上競技の選手として短距離競走の記録保持者だった事もある。大柄で、色の白い、目鼻立のはっきりしたのが、大勢の中や、広々とした場所では、若い男の目につく姿だった。一郎の友達仲間でも、少なからず問題にしていたが、養子はそういう連中を頭から馬鹿にしていた。
澤は、自分と同じような恵まれない境遇に在る養子に対して、素直な同情は先から持っていたが、恋らしい心持は最近までなかった。ひとつには、生来の己れを高く評価する性質が、不遇な人を哀れみこそはすれ、自分と同等もしくはそれ以上のものとして考える事を妨げたのである。彼はむしろ、出来る事ならば家門の正しくかつ現在栄えている家の娘を、将来の妻として迎えたいと密かに願っていた。母親似の一郎とは違って、角張った父親に似た甲子ではあるが、自分の才能を見込んでくれるものなら貰いたいと云う望を、心の奥底に秘めていた時代もあった。
それが、どうして養子を恋しく思うようになったかと云うと、やはり同じような境遇が結びつけたものと言う外はない。おまけに一方では、甲子の彼に対する態度が、先方が女らしく成熟して来るに連れて、いよいよかけはなれたものになって来たのも、自然と彼女に対する野心とも云うべきただならぬ心を薄らがせた原因となった。